こんにちは、たらこまるです。
本記事は
キッチン実用ノウハウ集の第5章 上級編です。
ノウハウ集では超基礎事項編 ⇒ 初級編 ⇒ 中級編 ⇒ 上級編(本記事)とステップアップしていきます。
各ステージでマスターしたいポイントを押さえたうえで次のステージにいかないと効果は望めませんので、中級編が未の方は本記事(上級編)を読む前に、まずは中級編を押さえましょう。
■ノウハウ集の全体構成
章 | ノウハウ集 | 記事の概要 |
---|---|---|
1 | 概要編 | まずはココから読み始めよう!ノウハウ集とは?前提など |
2 | 超基礎事項編 | オーダーあげる以前の超基礎事項!コレが出来ないとこの先は無い |
3 | 初級編 | 新人としてまずはここを押さえよう!4つのポイント |
4 | 中級編 | ここまで出来れば1人前!5つのポイント |
5 | 上級編 (本記事) | キッチンを引っ張る上級者として実現したい姿、4つのポイント |
6 | センター編 | キッチンを取りまとめる責任者として必要なこと(作成中) |
上級編でマスターしたいポイント
早速ですが上級編でマスターしたいポイントは以下です。
①センターからの指示が来る前に自分で組立てながらオーダーを進めること
②常に周りをみながらオーダーあげること
③元気な返事でキッチンを盛り上げよう!
④(最重要)センターと密なコミュニケーションをとること
上級編は、ピークでオーダーを大量にあげる観点に加え、
自ポジション以外も更に全体を見て調理を進めることが非常に重要となります。
まず初めに上記のポイント踏まえ、
上級で実現したいより具体的な姿をお伝えします。
【実現したい姿】
①目の前の作業をしつつ、次やる作業を頭で組立てながら
肉の焼け具合確認やセンターの落とし忘れが無いか等、常に周りを見ながら仕事をする。
②大量にチェックがある中で、ニューオーダー落とし忘れがないかをセンターに確認しつつ、先頭でやるべきことも確認。
(このセンター⇔各ポジション間の確認のことばが飛び交い活気なキッチンとなっている)
①②の繰り返しでピークを乗り切る
いまいちイメージが付かないかもしれませんが、
オーダーあげるシミュレーションを通じて上記ポイントを解説していきます。
読み終わる頃には上記姿のイメージがつくようになりますので、ぜひ最後まで読んでくださいね
シミュレーションの前提
これまでの初級編、中級編と同じくあなたはグリルポジションの前提です。
キッチンレイアウトも、これまでから変更ありません
【シミュレーションの前提】
キッチンメンバー:センター、グリル、フライヤーの3人体制。
フライヤーは新人の設定。
あなたのポジション:グリル。バイト始めて2年目。中級までマスター済み
キッチンレイアウト:下図参照
⇒あなたはグリルなので赤色部分が主な作業範囲です。
シチュエーション:土日ピーク時間帯
①センターからの指示が来る前に自分で組立てながらオーダーを進めること
ピピッ。以下2枚のニューオーダーが立て続けに入りました。
ちなみに1枚目のチェックは中級編のシミュレーションで出てきたチェックと同じものです。
早速センターがリーディング(ニューオーダー読上げ)を始めます。
ニューオーダー入りました、コブサラダ1つ、ツナサラダ1つ、ツナピザ1つ、エビグラタン1つ、カニドリア1つ・・・
リーディング中から作り置き類をまな板の上に置いていく大原則は中級編でやった通りです。
あなた:(ストック冷蔵庫からコブサラダ・ツナサラダの作り置きを出して、次は…)
この後、中級編ではエビグラタンを電子レンジに入れ、ツナピザを動かし始めましたが、
ピークを想定した上級編ではさらに2枚目のチェックが読まれます。
なので、今入ったニューオーダー全チェックのリーディングが終わり、
自分の落とすべきものが完全に落ちるまで、料理を動かし始めてはいけません
センターによるリーディングはまだ続きます。
ツナサラダ1つ、和風ハンバーグ1つ、デミグラスハンバーグ1つ、サイコロステーキ…
リーディングをしっかり聞きながら動きます。
あなた:(ツナサラダの作り置きをまな板に置いて、デミグラスハンバーグに添える目玉焼きを落として、、ボウルにサイコロステーキの肉を放り込み、、塩コショウ完了!
よし、ひと通り落とし終わった!)
今入ったニューオーダー全チェックの落とすべきものが
すべて落とし終わったのでここから料理を動かし始めます。
…とここでリーディングが終わったセンターが落とすものの確認を始めます。
このとき大事なことは以下です。これも中級編でやりましたね
【ニューオーダー確認時は食材がほぼ落ちている状態にあること】
あなたはひと通り落とし終わっているので、
落ちていることを確認しながらセンターからの指示が来る前にどんどん料理を動かし始めます。
センター:今入った2枚のニューオーダーでグリル(あなた)が落とすのは、まずサラダの作り置きがツナサラダ2つ、コブサラが1つ…
耳で聞きながらエビグラタンを電子レンジに入れ、ツナピザをやりつつオニオンスライスを焼き始めます。
そして全て抜けもれなく落ちているならセンターに伝えましょう。
あなた:はい、全部落ちてます!
このように、上級レベルになると
センターからの確認、指示が来る前に自分で組み立てながらどんどんオーダーを進めます。
組み立てるというのは具体的には
ニューオーダー落としつつ最適な順番で料理を動かすことです。
中級までは基本的にセンターからの指示をベースに作業内容を組み立てますが、
上級ではセンターからの指示前にすべて先回りで動き始め完了を目指します。
そしてニューオーダー確認時は指示として受けるのではなく、
自分が正しく落とし・動けていることの確認用として使います。
②常に周りをみながらオーダーあげること
ノウハウ集の概要編でも紹介しましたが
料理を作り上げるために色々なポジションをまたぎますよね
例えば
フライヤーが揚げたエビフライを
グリルがハンバーグに添えて
センターがライスを盛って最終提供
どこかのポジションの仕事が遅れたりミスがあると
料理の最終提供が遅れることに直結します。
その為、各ポジションが自分の仕事をしっかりこなすことが最も基本的な大原則ですが、
上級では料理の最終提供まで見据え
自分の仕事だけでなく、周りがニューオーダーを落とせているかも気にしながら仕事を進めます。
またピークでは純粋にあげるオーダー量が増えますので
目の前の作業だけに集中せず、
例えば後ろで調理中の焼け具合を焼き音で判断するなど、
目だけでなく耳も使って周りの状況を把握しながら作業を進める必要があり、
総じて「常に周りをみながらオーダーをあげること」と表現しています。
なお、ここでいう「周り」とはキッチン内の全スタッフの仕事内容を把握することではありません。
それはあくまでセンターの仕事なので、
各ポジションのスタッフから見た「周り」というのは
自分から見て直近のポジションまでの範囲です。
このシミュレーションの場合あなたはグリルスタッフなので、
直近ポジションであるセンターまでが「周り」として確認すべき範囲となります
それではシミュレーションを通じて詳細を解説していきます。
センターの落とし忘れがないか確認
シミュレーションへ戻る前に、前提を1つ補足説明します。
このシミュレーションにおけるキッチンの前提として、
ハンバーグを落とす(焼き始める)のはセンターの仕事とします。
理由は、キッチンレイアウトを見てもらうと分かる通り、
センターの真後ろがチャーブロイラー=ハンバーグ等の肉類を焼く鉄板なので
ニューオーダー読みつつハンバーグを落とすのはセンターの仕事になりますよね。
↓チャーブロイラー(ハンバーグやステーキ等を焼く鉄板の一種)
それではシミュレーションを続けましょう
(内容を思い出すために以下にニューオーダーのチェックを再度載せます)
このニューオーダーの場合、センターは2枚のハンバーグをチャーブロイラーに落とす必要があります(和風ハンバーグとデミグラスハンバーグ分)
先ほど解説したポイント「常に周りをみながらオーダーをあげること」の通り、
あなたは自分の料理を動かしつつ、
センターがニューオーダーで落とすべきハンバーグの落とし忘れが無いか
チャーブロイラーにも目を向けます。
あなた:ニューオーダーのハンバーグ落ちてるかな?…あ!落ちてない!
センターは、ニューオーダーの読み上げや各ポジションへの確認の他、
新人であるフライヤースタッフへのフォローにとても忙しく、
センターが落とすべきハンバーグをまだ落とせていない状況です。
このような状況の場合、グリルスタッフのあなたがセンターに代わってハンバーグを落とします。
このとき重要なのが、相手へ聞こえるように作業内容を必ず伝えることです。
センター自身はまだハンバーグを落としていないことを自覚しており、
フライヤーのフォローが終わり次第、
チャブに戻ってハンバーグを落とそうとしているかもしれません。
グリルがハンバーグを落としたのにセンターへ伝えていないと、
センターがチャブへ戻った際に
「あれ、落ちてるじゃん!無駄な移動した、落としたなら伝えてほしかった…」
となってしまうので、必ずセンターへ伝えましょう。
グリルがハンバーグを落としたことが分かれば、わざわざセンターがチャブへ行く必要がなくなり、フライヤーのフォローが更にできる等、効率的な仕事につながります
超基礎事項編でも紹介した通り、コミュニケーションは円滑な仕事を進めるうえで必須です
あなた:ニューオーダーのハンバーグ2枚落としときますね!
センター:ありがとう~、助かる!(よしハンバーグは落ちたから、フライヤーのフォローを更にできる)
ハンバーグを落としたあなたは引き続き自分の仕事を進めます。
焼け具合は音で判断
あなた:
さっき塩コショウしたサイコロステーキをグリル板で焼き始めて、、
同時に焼き途中のオニオンスライスをあおりながら、、
前を向いて、まな板でこいつらをやるぞ・・・
・カニドリアのボウルに追加食材をいれて電子レンジへ投入
・ツナピザを完成させる
この様に、
・前方のまな板で作業をしつつ
・後方のグリル板やフライパンで肉、野菜を焼く
というシチュエーションはよく起こります。
慣れないうちは、
つど後ろを振り返り目視で焼け具合を確認する為、
後ろ向いて⇒前向いて⇒後ろ向いて…となり効率が悪くなってしまいますが、
慣れてくると
いちいち後ろを見なくてもフライパン等の「パチパチパチ」
という焼き音だけで焼け具合が判断出来るようになります。
焼き音が大きくなってきたから、
そろそろフライパンをあおらないと、
肉をひっくり返さないと…といった具合ですね。
当然、音だけでなく焼き始めてから経過した時間も感覚的に覚えておいて、
音と時間あわせて判断します。
このように、オーダー量が爆増する上級レベルでは、
目だけでなく耳も使い周りの状況を把握しながら作業を進める必要があり、
総じて「常に周りをみながら聞きながらオーダーをあげる」必要がある ということです。
③元気な返事でキッチンを盛り上げよう!
そうこうしているうちに、センターから確認の指示がきました。
グリル側が動かすものはオーブンものがエビグラタン、カニドリア、ツナピザ。
それとグリル板に落ちてるのがサイコロステーキ、オニオンスライス、デミグラスハンバーグの目玉焼き。あと、かつとじ膳の用意もお願いねー!
上級のあたなはすべて完璧に落ち、動けています。
あとは元気よく返事するのみです!
全部余裕です、もっと仕事もらえますよー!笑
バイト仲間、先輩との関係もありますが、返事はかしこまった「ハイ」だけじゃなくても大丈夫です。
特にキッチンはピークの序盤はいいのですが、
中盤戦以降大量のオーダーで忙殺され、補充も尽きてくると精神的にキツくなってきます。
精神論ではありませんが、
そんな時にメンバー間で声を出しあってコミュニケーションがとれると
気持ちを立て直せることも事実です。
ちなみに、たらこまるがやっていたキッチンの返事は
「あいよー!」とか「っしゃー!!」とかシャウトに近かったです(笑)
控えめの新人もピークではつられて
「ハイ、大丈夫ですー!!」と段々声が大きくなっていき、
チーム一丸となってオーダーに立ち向かう構図が出来てきます。
そうなればこっちのものです笑
長年キッチンの修羅場を乗り越えてきた僕としては、
ピーク時は盛り上げたもん勝ちだと思います。
活気があればどんな苦しい状況も皆で乗り越えられますからね。
ただ新人から盛り上げるのは難しいので、
先輩が自ら元気よく返事、コミュニケーションをすることで
新人を巻き込み活気のあるキッチンを作っていきましょう!
こうした意識も上級になると必要になってきます。
④【最重要!】センターと密なコミュニケーションをとること
またシミュレーションに戻ります。
順調に1発目の2枚のニューオーダーを進めているなか、
更にニューオーダーが2枚きました。
ピピッ…
ピピッとなった瞬間にニューオーダーを落とす用意をします。
センター:ニューオーダー、お子様ピラフ、お子様ラーメン、お子様うどん…
これまでやってきたように、作り置きを出しビシビシ動きながらも
ニューオーダーをしっかり聞いて食らいつきます。
ピークにおけるセンターとの必須コミュニケーションは大きく分けて
以下の2つがありますので詳しく解説していきます。
①やるべきこと確認
②先頭確認
何をすべきか分からないときはセンターに確認
このチェックがきて10秒後にまた2枚、すぐあとにまた2枚、と
ピーク突入後はどんどんチェックが増えていきます。
そうなるといくら早く効率的に動けても、
段々何を落とすのか、
先頭のオーダーは何なのか、
自分だけでは把握できなくなってきます。
そこで超基礎事項編で述べた意思表示が必要となってきます。
あなた:グリルは何落とすか確認お願いします!
とセンターに言って指示をもらい確実に落とします。
センター:オケー、グリルはサラダの作り置き出したら、ラザニア、エビグラ電子レンジいれてお子様の台をお願い!
先頭が何かセンターに確認
センターから指示もらったものが落とし終わったら
今度は「先頭」をセンターに聞きます。
あなた:今言われたのは全部落ちて動きました!先頭はなんでしょうか??
【用語解説】
先頭:オーダー順的に最優先でやるべき作業のこと。
ニューオーダー落とした後は必ず先頭を意識して作業する。
例:センター:「グリルの先頭はエビグラタンとラザニアです。まずオーブンに入れよう」
ピーク中はセンターに聞きづらい、、と思われるかもしれませんが、
センターに質問を沢山して困らせるんだ!くらいの勢いで大丈夫です。
事実、センターは両サイドからの確認、コミュニケーションがあればある程やりやすいものです。
・センターが各ポジションを確認する
・各ポジションもセンターに積極的に確認する
・センターが落とせていないものは各ポジションがフォローする
このようにお互いフォローし合い、センター⇔メンバー間で密にコミュニケーションがとれれば
どんな苦しい状況でも最善を尽くせられます。
全メンバー一丸となってピークを乗り切りましょう。
まとめ
上級編はここまでです。
以下にあらためてポイントを記載します。
①センターからの指示が来る前に自分で組立てながらオーダーを進めること
⇒指示前にすべて先回りで動き始め完了を目指す
⇒ニューオーダー確認時は指示として受けるのではなく、自分が正しく落とし・動けていることの確認用として使う
②常に周りをみながらオーダーあげること
⇒周りがニューオーダーを落とせているかも気にしながら仕事を進める
⇒目だけでなく耳も使い周りの状況を把握しながら作業を進める
③元気な返事でキッチンを盛り上げよう!
⇒ピーク時は盛り上げたもん勝ち!
④センターと密なコミュニケーションをとること
センター⇔メンバー間で密にコミュニケーションがとれればどんな苦しい状況でも最善を尽くせられる
ここまで読まれた方は、
冒頭で紹介した以下の「上級編で実現したい姿」がイメージできるのではないでしょうか。
【実現したい姿】
①目の前の作業をしつつ、次やる作業を頭で組立てながら
肉の焼け具合確認やセンターの落とし忘れが無いか等、常に周りを見ながら仕事をする。
②大量にチェックがある中で、ニューオーダー落とし忘れがないかをセンターに確認しつつ、先頭でやるべきことも確認。
(このセンター⇔各ポジション間の確認のことばが飛び交い活気なキッチンとなっている)
①②の繰り返しでピークを乗り切る
前述の4つのポイントと、この実現したい姿を常に意識しながらキッチンをやっていきましょう。
各ポジションスタッフとしてのノウハウ集はこれが最終となります。
超基礎事項編から始まり上級編までお疲れ様でした!
そして各ポジションをマスターしたスタッフが最後に行き着くのはセンターです。
上級編をマスターしつつある方は
いよいよキッチン実用ノウハウ集の最終章となるセンター編へ進みましょう!(現在作成中)